NTTデータ、Xデータを活用し、観光産業のさらなる活性化を目指す
新しい生活様式に向けた移動制限の解除を見据え、トラベラーファーストの視点を強化支援するために、30万か所の観光地を分析
NTTデータについて
NTTデータは、日本のIT市場において、トップクラスのシステムインテグレーター(SI)です。 政府や企業の委託を受けて、管理と運営の問題を解決し、新たな技術機能を実現するための、高度にカスタマイズされたITシステムを構築しています。 そして、顧客のプロジェクトにきめ細やかに対応するため、ソリューションエキスパートのチームを配属しています。 Xは、NTTデータとのおよそ10年にわたる貴重なパートナーシップを通じて、ツイートに関する全量データを提供し、NTTデータの数々のプロジェクトをサポートしています。
背景
2020年の世界的パンデミック(世界的大流行)は未曾有の事態をもたらしました。日本の観光産業は他の国と同様、停滞の様相を呈しています。 X活用事例のインサイトは、パンデミック以前に公開されたものですが、人々が旅行を再開できるようになったとき、日本が国内外の旅行者を迎え入れる上で理想的な体制を整えることを支援します。 またこのインサイトは、観光産業を通じた日本の景気回復の支援にも活用されます。
日本経済を支える重要な取り組みの、1つは観光産業です。 パンデミックの発生以前には、日本政府の年間訪日外国人旅行者数の目標は4,000万人、関連収益は4兆円でした。 訪日観光客のほとんどは東京、京都、大阪など人気の観光名所を訪れています。観光政策や事業に関わる担当者は、実は観光スポットの導線を全国津々浦々にある素晴らしい観光名所まで拡大することを課題としていました。 日本全国に広がる観光スポットを紹介でき、利用者がアクセスしやすい情報が存在しませんでした。データの収集、観光名所の辞書を作るための言語処理の自動化、そして辞書データベースの継続的更新は、不可能に近い業務でした。
課題
システムインテグレーター企業としてグローバル展開するNTTデータは、観光産業に関連するプロジェクトの支援体制を強化しています。主な強化ポイントは、データを収集して分析し、旅行者は人気の観光スポット以外で訪れている場所があるかを理解すること、そして旅行者の好みに合わせた観光スポットの提案を観光政策や観光事業の担当チームが行えるようになることでした。下記3つの視点で観光関連情報をまとめました。
- 旅行者が地方ではどこを訪問しているか?
- 観光地にはどのような人たちが訪れているか?
- 訪問先の観光地ではどのような体験をしているのか?
地方自治体などでは、効果的な観光プロモーションキャンペーンを企画し、サービスや交通機関を改善するため、この様な分析データに基づくインサイトが必要でした。
戦略
NTTデータでは、コンサルタント、プログラマー、プロジェクトマネージャーで構成されたソリューションエキスパートのチームを編成し、こうした課題に取り組みました。 X上の公共の会話を、高度なテキスト分析技術で解析することで、30万か所もの観光スポットの情報をデータベースに集約しました。このデータベースを利用すると、上記3つの視点で簡単に観光スポットの情報を分析することができる様になります。
実現に向けて、ディープラーニング技術とNTTデータのプロファイル推定エンジンを組み合わせXデータを分析しました。特にXデータの特有の要素が旅行者が訪れた観光地を正確に特定し分析する取り組みにつながりました。 例えば、Xデータには、観光体験、名産品、イベント、アトラクション、観光名所、食べ物や農産物直売市、散策などに関する幅広い会話が含まれています。旅行者が特定の観光地を好む理由を把握できると考えたのです。
成果
NTTデータは、観光をテーマにX上に存在する旅行者の声を分析したことで、旅行者についての属性や嗜好などの新しい知見を見いだせる様になります。また、観光地や観光施設などに関する改善点も浮き彫りになったのです。具体的なポイントが見えてきたことで、訪日外国人にも一層便利に地元の観光地で過ごしてもらうための企画推進が可能になります。データ分析から見えた知見に基づき、一部の地方自治体と、30万か所の観光スポットの情報を元にターゲットを絞り、観光プロモーションを企画しました。
NTTデータはこのプロジェクトの一環として、日本の1万か所以上の観光スポットへのスコアリング機能を利用できるようにしました。 以下のグラフは、伝統があり文化財産として評価されているものの、一般的には知られていない日本の寺院を分析したものです。
観光産業を取りまとめる地方自治体などでは、旅行者の満足度に関する新たな知見を活用することが可能です。旅行者の声を大切にしながら、観光地で旅行者向けに提供される体験とサービスを改善できるようになりました。
地方自治体の観光担当部署でも観光に訪れた旅行者の本音を把握することの限界に直面していました。 各地方自治体は現在、Xデータの分析で得られた集約されたインサイトに基づき、従来のアンケートでは捉えきれなかった、満足度の低い旅行者を定量的に把握して、旅行のプロモーションイベントやサービスの優先順位を、数値データを基に決めることができるようになります。
旅行者のトレンドを地域ごとに把握して、今まで実現が難しかった特定の層の旅行者に最もアピールする旅行プログラムを、戦略的に提示が可能です。 たとえば、データから得られたインサイトを使用して、それまで北米やヨーロッパからの旅行者には無名だった観光地のプロモーションを行った事例では、結果的に訪問者数が2倍に増加しました。
またNTTデータでは、ツイートから感情データを引き出し、具体的な業務施策に展開することを支援できました。穴場スポットの例にもある様に、訪問者はその観光地の何をなぜ好きになったのかなどが投稿に集約されています。 200を超える地方自治体や民間企業が、旅行者のオープンで本音ベースの会話を分析していて観光産業の取り組みの把握と改善を実践しています。
XはNTTデータの観光関連プロジェクトを通じて、日本の観光産業のプロモーション活動の支援に参加しています。同時に、Xデータエコシステムのさらなる拡大によりNTTデータとのパートナーシップの下、数4,000万人の目標を達成などの、より大きな社会課題の解決支援に向けて取り組んでいます。